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There Is Never Any End to Paris (パリに終わりなし)

Ritz のバーにヘミングウェイがF・スコット・フィッツジェラルドに連れられて初めて来たのは1920年代後半のことで、当時フィッツジェラルドはすでに作家として有名で、このバーの常連となっていたそうです。ヘミングウェイはまだこのころは毎週このバーで飲むほどの稼ぎはなかったものの、のちにバーだけではなく、ホテルの部屋にも好きなだけ滞在することが出来るようになったとのこと。(参考:ヘミングウェイのパリ・ガイド 今村楯夫著)

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ヘミングウェイには、「A Moveable Feast(移動祝祭日)」という1920年代のパリについて書かれた作品があります。この作品の扉には、

もしきみが幸運にも

青年時代にパリに住んだとすれば

きみが残りの人生をどこで過ごそうとも

パリはきみについてまわる

なぜならばパリは

移動祝祭日だからだ

―――――――ある友へ

(「移動祝祭日」福田陸太郎訳)

と書かれていて、「サン・ミシェル広場の良いカフェ」から始まり、「シェイクスピア書店」「セーヌの人々」「飢えは良い修行だった」「スコット・フィッツジェラルド」など、パリにおける修行時代のことが書かれていて、「パリに終わりなし」で終わっています。

最後の部分は、

パリには決して終わりがない。そこに住んだ人の思い出は、他のだれの思い出ともちがう。私たちは常にパリへ帰った。その私たちというのが、だれであったにせよ、また、どんなにパリが変わったにせよ、あるいは、どんなに苦労して、または、どんなに容易に、パリへもどれたにしても。パリは常にその値打ちがあった。きみがそこへ何をもって行っても、そのお返しを受けるのだった。だが、これは、私たちがとても貧乏でとても楽しかった昔のパリのことである。

(「移動祝祭日」より抜粋)

*****

長期にわたってノルマンディ、パリの旅の記録を書いてきましたが、とりあえずこれで終わりにします。自分自身の旅の記録として、また何人かの方がノルマンディは行ったことがないので様子を知りたいとおっしゃっていたので、何かの参考になればと思い綴ってきました。今振り返ってみると、つい先日のようにも思えますし、ずいぶん昔のことのようにも思えます。その時のシーン、会話などが鮮明に思い出されるところもあれば、あれ?どうだったのかな?とすでに忘れてしまったこともありますが、とても良い旅でした。またフランスに行く機会があったとしたら次はどこに行きたい?と聞かれたら、「ノルマンディもまた行きたいと思うし、パリ以外の地方も行きたいし、やっぱりパリはもう少し長く滞在したい」と答えるでしょう。パリには終わりがないですものね。そして、心の中では「1920年代のパリに行きたいな」なんて思うかもしれません。

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2016-11-22 | Posted in gallery, , 日々のことNo Comments » 
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