日々のこと
Étretat(エトルタ)とDieppe(ディエップ)
ル・アーブル滞在中に、エトルタとディエップに日帰りで行きました。エトルタは、ブーダン、クールベ、モネが描いた「風雨にさらされて自然にできたアーチ型の断崖」で有名な地です。また、この不思議が形の断崖の近くには、針岩があり、これはモーリス・ルブランの小説「奇巌城(L’Aiguille creuse)」の舞台となっています。
モネの絵とここからの風景だと示すボード。
断崖の上に登ることもできます。途中休憩してしまった私。5キロ減量しなくてはと思いました。
断崖の上からの風景。山でも丘でも城でもタワーでも登るのは大変だけど、上からの風景は素晴らしいですね。
崖の上の教会。教会の裏には駐車場がありました。車でも上がって来れたのでした。
エトルタは小さな街で、駐車場も少ないので、街に近づいたらどこか空いている駐車場に入れて歩いたほうが良いということでした。到着したときよりどんどんお天気が良くなり、観光客、海で遊ぶ人が増えてきてビーチも結構にぎわっていました。
エトルタはモーリス・ルブランが住んでいた邸宅があり(ルブランはルーアンの生まれ)、「モーリス・ルブラン博物館(ルパンの隠れ家)」として公開されています。
私は小学生の頃から推理小説が大好きだったので、もちろんルパンシリーズもほとんど読みましたが、すっかり忘れています。当時読んだのは子供向けの本なので、また読んでみようかなと思っています。
博物館の中は撮影禁止でした。オーディオガイド(英語かフランス語)はルパンを演じたフランスの俳優さん。なかなか面白いツァーでした。庭にはバラが咲いていて、とても素敵でした。さすがエレガントなルパンの隠れ家。
エトルタでランチ(ムール貝が美味しかった!)をして、ディエップに向かいました。ディエップは海沿いの観光地で、ここのホテルで主人の友人の息子さんがインターンとして勤務しているので会いに行きました。
彼に案内されて(途中フランス語レッスンを受けながら)、海辺へ。国際凧揚げ大会が開催されていました。
エトルタからディエップは結構時間がかかってしまい、なんとルーターやiPhoneのバッテリーがかなり危険な状況になり、途中カフェで充電させてもらいました。エトルタを出る頃には日没の時間になり、まさに印象派の海、空の風景となりました。それはとても美しかったのですが、途中高速が渋滞となったり、ディエップに泊まればよかったと思ったほどでした。
ル・アーブルに泊まるより、エトルタに泊まって、朝や夕暮れの海を眺めるのもよかったなとちょっと後悔しました。
ユネスコ世界遺産の都市 Le Havre(ル・アーブル)へ
美しい小さな村をあとにして、次に向かったのはLe Havre(ル・アーブル)でした。ル・アーブルは最初に滞在したオンフルールの対岸の都市で、オンフルールからノルマンディ橋(斜張橋、吊り橋で、日本の多々羅大橋と姉妹橋)を渡って行くことが出来ます。ル・アーブルは第二次世界大戦中、ドイツ軍に占領されていたため、連合国軍による爆撃で中心地街は廃墟となり、戦後、オーギュスト・ペレにより大規模な都市再建が行われ、ユネスコの世界遺産として登録されています。
対岸のオンフルールの古い町並みをは全く違う建物、整然と整備された道路を見ると、どれほどこの街が破壊されたのかと、、、。
ホテルにチェックインして、海のほうへ5分ぐらい歩き、アンドレ・マルロー美術館に行きました。この美術館は、作家アンドレ・マルロー(André Malraux)が文相時代にル・アーブル美術館をベースに、第二次世界大戦の深い傷跡の残るル・アーヴルの町に、文化センターを兼ねた美術館をオープンすることを決定したとのこと。パリやルーアン、オンフルールで訪れた美術館と違って、建物自体も大変モダンな建築となっていました。
寄贈、購入によって、マルロー美術館はフランス第二の印象派コレクションを有する美術館になったとのことです。ル・アーブルは、モネの「印象 – 日の出」誕生の街であり、マルロー美術館のすぐ近くがモネが描いた場所なのですが、あの絵の面影はありませんでした。
タイミングよく、ブーダン展が開催されていました。
この美術館では、ドラクロワ(Eugène Delacroix)、クールベ(Gustave Courbet)、ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)、モネ(Claude Monet)、ボナール(Pierre Bonnard)、シスレー(Alfred Sisley)、マルケ(Albert Marquet)、マティス(Henri Matisse)などの作品を観ることが出来ます。
ル・アーブルには2泊しました。宿泊したホテルはサン・ジョセフ教会のすぐ近くでした。この教会もオーギュスト・ペレによるもの。
Beuvron-en-Auge – フランスの最も美しい村のひとつへ
「フランスの美しい村」の写真集を見て以来、いつか美しい村の一つに行ってみたいと思っていました。ノルマンディへの旅を決めて、ノルマンディ特集の雑誌を見ていたら、Beuvron-en-Auge (ブブロン アン オージュ)が出ていました。もし時間があれば行ってみたいと思って、その雑誌の切り抜きを持って旅に出かけました。オーベルジュでの2泊3日の滞在の次の目的地(宿泊地)はル・アーブルでした。オーベルジュからル・アーブルは近いので、その前にブブロン アン オージュに寄ってみることにしました。駐車場とインフォメーションセンターから村への入り口。
雑誌に載っていたクレープ屋さんやお土産物やさん。
ランチに素朴なガレットを食べました。もちろんシードルも。
インフォメーションセンターに来ていたツーリストが、村のマップを欲しいと言っていましたが、15分で回れてしまう小さな村なのでマップはありませんという答えでした。
カルバドス、コンフィチュールなどを売っていたお店。年配のマダムが素敵でした。写真撮られせてもらえばよかったのに。
フランスの最も美しい村協会 http://www.les-plus-beaux-villages-de-france.org/fr
Beuvron-en-Auge http://www.les-plus-beaux-villages-de-france.org/en/beuvron-en-auge
オーベルジュ2日目は中庭でディナー
オーベルジュ滞在2日目、夕方になって中庭から音が聞こえてきたので、窓から見下ろしてみると、中庭にテーブルがセットされていました。気候も良いので、希望すれば中庭でディナーが出来るようです。ディナーは、前菜、メイン、デザート選ぶことが出来るのですが、どれも美味しそうでとても悩みました。
主人は前日の前菜で選んだカキがとても気に入って2日目もカキ。生ガキと火を通したものとどちらがいいかと聞かれて、生ガキはオンフルールでたくさん食べたので、少し火を通したものをリクエストしたら、と~っても美味しかったのです。明るかった庭もだんだんと暗くなってきました。
メインは舌平目に。
このお野菜の蒸し煮は舌平目に添えられていたのですが、野菜たっぷりで幸せな気持ちになりました(野菜好き)。じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、ズッキーニ、インゲンと普通に手に入る食材なので、家でも出来そう。Staubのお鍋で作ったのかなぁと想像してしまいました。
デザートの前に、カマンベールチーズを焼いたものが出てきましたが、これもとても美味しかったです。今度家でもやってみようと思います。写真も撮りましたが、暗くて美味しそうに映っていなかったので省略します。ハーブ野菜が添えられていました。
このオーベルジュについてはまだお伝えしたいこともありますが、もう10月も中旬になってしまったので、先を急ぐことにします。
オーベルジュの朝
オーベルジュで過ごした3日間(2泊3日)はとても良いお天気でした。すがすがしい朝の光と空気。
食事はすべて1階のダイニングルームで。
朝食の準備中の朝担当のマダム。
パンも数種類あり、自分でカットします。私はこのまま食べましたが、トースターもありました。
真ん中のステンレス製のゆで卵調理器具で好みの固さに自分でゆで卵を作ります。旅から戻り、我が家はゆで卵ブームです。
ソーセージ、ハム、チーズなども自分で好きなようにカット。
ジュースも3種類、コンフィチュール数種類、バター、紅茶、コーヒー、シリアル、ヨーグルト、ドライフルーツなども自分で選びます。
紅茶はマリアージュのティーバッグが数種類置いてありました。ノルマンディはリンゴの土地なので、どのホテルでも必ずおいしいリンゴジュースを飲むことが出来ました。私はリンゴが好きなので、ついついたくさん飲んでしまいました。
朝ご飯が充実していると、今日は良い日になるかなと思えます。食器やカトラリーは、とてもシンプルで素敵でした。
食事後外に出てみたら、真っ青な空。
小さな村のオーベルジュ
auberge(オーベルジュ)は、フランスが発祥国でおいしいお料理を堪能できる宿泊施設付きのレストランです。時々雑誌などで見て、いつかフランスの地方へ行ってオーベルジュに泊まってみたいと思っていました。フランスのガイドブックを見ていたら、ノルマンディにもお勧めオーベルジュがいくつか載っていて、オンフルールから近いオーベルジュがとても良さそうだったので予約しました。
きれいに手入れされた中庭があって、メインの建物は1階にダイニングルームと新聞、雑誌などが置いてある部屋があり、2階、3階が宿泊客の部屋、他に2つ宿泊客用の建物があります(客室総数15)。とても評判がよく、人気のオーベルジュのようで、フランス国内各地から、イギリスやドイツからの宿泊客もいました。アジアからは私たちだけでした。
ここは小さな村で、レストランどころかカフェもないし、観光するようなところも何もありません。地元の人の家、農家、村役場、教会があるだけ(少し車で走ればゴルフ場がありました)。ここに滞在した3日間は、中庭や部屋で本を読んだり、付近を散歩したりするぐらいで、のんびり過ごしました。
とても素敵なところでしたので、朝食、ディナーのことなど、次回にご紹介したいと思います。
大聖堂と美術館 – Rouen(ルーアン)
クロード・モネの連作ルーアン大聖堂は33点あるそうです。実際のルーアン大聖堂、ルーアン美術館にあるモネの絵を観に、ドーヴィルで車を借りた後、ルーアンに行きました。
大きくて、全体を撮るのは私のカメラでは無理でした。大聖堂の中、当然のことながら荘厳な雰囲気。
ルーアンは、ジャンヌ・ダルクが火刑に処せられた地でもあり、その跡地にはジャンヌダルク教会が建てられています。
ルーアン美術館は、フランス第二の印象派のコレクションを誇る美術館で、丁度、モネ、マネ、ルノアール、モリゾ展を開催していました。
このポスターの絵、マネ作『すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』も展示されていました。通常はオルセーにあるので、ルーアンに来なかったら今回見ることが出来なかったわけで、とてもラッキーでした。この絵は以前オルセーでも見て、何年か前に日本にも来たことがあるので、今回3回目。
そして待望のモネ作、ルーアン大聖堂。
この美術館は大変素晴らしい美術館でした。パリだけでなく、地方都市にもこのように素晴らしい美術館があり、相当な作品が常時展示されていることにさすが芸術の国だと納得しました。
Deauville(ドーヴィル)へ
ノルマンディ滞在中は車を借りることにしていたので、オンフルール付近のレンタカー屋さんを検索すると、ドーヴィルにあることがわかりました。オンフルールのホテルから連絡してもらい、車を借りにドーヴィルへ行きました。
ドーヴィルはいつか行きたい場所のひとつでした。それは、クロード・ルルーシュの映画「男と女」の舞台であったからです。オンフルールに着いてからあまり良いお天気ではなかったのですが、ドーヴィルに行った日は朝から快晴。タクシーでレンタカー屋さんに向かう際に見た街並みはオンフルールとはだいぶ雰囲気が違っていました。洗練された新しい街でした。
映画での季節は冬だったので、ずいぶん雰囲気が違います。まさにリゾート地。映画ではおじいさんと犬が出てきたけれど、、、かっこいいシェパード登場。
そしてこちらのホテルがロケで使われたホテル(ノルマンディー・バリエール- Normandy Barriere)です。映画のようにモノクロで(映画はモノクロのシーンとカラーのシーンがあります)。
ホテル内は重厚な雰囲気でしたが、この夏の強烈な光よりも、映画と同じ季節に来たらもっと素敵だったかもしれません。映画の中のアヌーク・エーメのムートンのコート、さりげなく持ったシャネルのバッグ、素敵でした。アヌーク・エーメが出ている他の映画も何本か観たことがありますが、やはり、この映画のアンヌ役が一番素敵だったと思います。
念願のドーヴィルに行けたのはとても嬉しかったのですが、ドーヴィルはリゾート地であるせいか、何も観るものがなくて、私のような単なるツーリストには退屈してしまう場所かもしれません。そこがいいのでしょうね。
霧雨の中、旧市街を歩く(オンフルール)
オンフルールに到着した日は月曜日でした。ガイドブックによると美術館は火曜日が休館日となっていたので、ランチの後(ランチのことはまた別途)、美術館に行くことにしました。オンフルールは小さな街なので、観光スポットは歩いて回れます。お天気は曇り空から霧雨へ。大雨は困るけれど、国内旅行であれ、海外旅行であれ、雨が気にならないのはなぜでしょう。もちろん大雨は困りますが。たぶん、雨によって、木々や街の建物などがより一層鮮やかな色に見え、周囲の音もとても静かになるからでしょう。霧雨ぐらいはどうってことありませんが、念のためお土産物屋さんで折りたたみ傘を買いました。これは旅の間結構使用する機会がありました。旧市街の街並み、石畳、雨が似合います。
まずは、ブーダン美術館へ。
モネはブーダンに屋外で絵を描くことを勧められたそうです。ブーダンはオンフルールで生まれ、ルアーブルに移り住んだそうです。この美術館はちょっと照明が暗いような気がしました。そして撮影禁止。私はここで観た作品からはあまりモネの師と感じられなくて、ルアーブルのマルロー美術館で観た作品のほうが素晴らしいと感じました。
次は、エリック・サティの家へ。
エリック・サティがオンフルールの出身だったとは今回の旅のためのガイドブックを見て初めて知りました。サティの音楽をはっきり認識したのは、学生時代に見た(名画座で!)ルイ・マル監督の「鬼火」という映画ででした。鬼火は今でも大好きな映画で、時々DVDを観ます。主演のモーリス・ロネ、モノクロの画面、サティの音楽が本当によく合っていて、今でもサティの曲が流れてくると、この映画のシーンが浮かびます。
印象派を巡る旅のはずが、フランス映画を巡る旅になりそうな気配がしました。
ノルマンディの旅 – 旅の始まりはHonfleur(オンフルール)から
ノルマンディの旅は、パリ、サンラザール駅よりSNCF(フランス国営鉄道)でトルーヴィル・ドーヴィル(Trouville-Deauville )駅まで2時間、タクシーで2,30分のオンフルール(Honfleur)から始まりました。
ノルマンディで過ごしたのは8日間。オンフルールに3泊、オンフルール近くの小さな村に2泊、ルアーブルに2泊、カブールに1泊しつつ、ルーアン、エトルタ、ディエップ、ドーヴィル、トルーヴィルを訪れました。
オンフルールは、セーヌ河口の古い港町です。小さな港町ですが、観光客の多さに驚きました。鉄道の駅がないので、SNCFのリジュー駅、ルアーブル駅等からバスで行かなくてはなりませんが、荷物があるのでバスは面倒と思い、トルーヴィル・ドーヴィルからタクシーにしました。オンフルールに向かう途中は市内を抜けると、田園風景が続き、リンゴの木が見え、ノルマンディに来たのだと感じました。
オンフルールは港の周辺に古い建物がびっしり並び、レストランとカフェが所狭しと並んでいます。どのお店もテーマカラーがあるのか、椅子、パラソル、クッション、テーブルクロスなどの色が様々で、観光地という印象。
一歩中の通りに入ると、落ち着いた感じのレストラン、小さなホテル、ギャラリーが並んでいます。
この町の観光スポットは、フランス最大の木造教会サント・カトリーヌ教会、ブーダン美術館、エリック・サティの家、ノルマンディ橋、旧市街。食べたいものは、ムール貝、生カキ。
作曲家のエリック・サティと画家のウジェーヌ・ブータンはこの町の出身だそうです。 ノルマンディの旅のテーマは「印象派を巡る旅」であるので、モネの師であるブーダンの出身地、オンフルールから旅を始めることにしました。
http://www.ot-honfleur.fr/
http://www.honfleur-tourism.co.uk/